刹那的に生きる最期。「オールザットジャズ」
オール・ザット・ジャズ(All That Jazz)
『シカゴ』等数多くのブロードウェイミュージカルの演出等を手掛けている、
ボブ・フォッシー監督の自伝的作品。
また、カンヌ映画祭グランプリ賞も受賞。
この手の天才の破滅劇が本当に好き。
才能のある芸術家は酒と女とクスリにだらしなくて、早く死ぬ。
そんな人物やら設定、物語が好きなんですが
これは本当に、まさにそんな感じの話。
二人の女と文字通り一緒に住んで、
「もうあなたをシェアするのは嫌。」
と別れを告げられるなんて、最高じゃないですか。
私が男だったら言わせたいセリフすぎます。
劇中で彼も言っていたのですが、
「そんなに俺のことを愛していたのか。」
と嬉しくなりますよね。(クズ
そして何度も繰り返される朝のルーティン、
鎮痛剤とクスリとシャワー
刹那的に生きていることが伝わってくる好きなシーンでした。
徐々に確実に彼の体を蝕んでいく。
この映画の根底にあるのは『死』なのですが、
舞台が何よりも好きな彼にとっては、自分の納得するいいものを作っていく、ショータイムを始めるには酒とタバコ、クスリが彼には必要で、どうしても命を先に進める必要があるんですね。
自分が死ぬということを受け入れるまでには、否認・怒り・取引・抑うつ・受容と5つの段階があるという。
でもこれで何を伝えたいのかというよりかは、作品として自分のことを残しておきたかったのかなと思いました。
そして作っていくうちにまた監督自身も、死の5段階のうちの最終章、受容へと意識を持っていくことができたのだろうか、と。
個人的にこの映画で一番好きなところは、リハーサルのシーンです。
ここだけでも価値のある映画だと思うくらい芸術的。
彫刻が動いているかのようなダンス、不穏な音楽、unusualな演出、
これこそが彼の真髄なのだという印象を受けました。
このシーンについてはあまり言葉にするのはナンセンスなので(ブログなのに
ミュージカルや舞台好きな方にはとりあえず、ここのシーンだけでも観て欲しいなと思いました!
ミュージカルですが、どちらかというとショー要素の強いこの作品。
話し的には暗いですがそこまで暗い演出はないので、
ミュージカルやショー美術や衣装などが好きな方はよかったら観てみてください。
では、この辺で。