刹那的に生きる最期。「オールザットジャズ」

オール・ザット・ジャズ(All That Jazz)

1976年のアメリカのミュージカル映画

『シカゴ』等数多くのブロードウェイミュージカルの演出等を手掛けている、

ボブ・フォッシー監督の自伝的作品。

 

アカデミー賞美術賞編集賞、編曲賞、衣装デザイン賞、

また、カンヌ映画祭グランプリ賞も受賞。

 

この手の天才の破滅劇が本当に好き。

才能のある芸術家は酒と女とクスリにだらしなくて、早く死ぬ。

そんな人物やら設定、物語が好きなんですが

 

これは本当に、まさにそんな感じの話。

 

二人の女と文字通り一緒に住んで、

 

「もうあなたをシェアするのは嫌。」

 

と別れを告げられるなんて、最高じゃないですか。

私が男だったら言わせたいセリフすぎます。

劇中で彼も言っていたのですが、

「そんなに俺のことを愛していたのか。」

と嬉しくなりますよね。(クズ

 

 

そして何度も繰り返される朝のルーティン、

 

鎮痛剤とクスリとシャワー

 

刹那的に生きていることが伝わってくる好きなシーンでした。

徐々に確実に彼の体を蝕んでいく。

 

この映画の根底にあるのは『死』なのですが、

舞台が何よりも好きな彼にとっては、自分の納得するいいものを作っていく、ショータイムを始めるには酒とタバコ、クスリが彼には必要で、どうしても命を先に進める必要があるんですね。

 

 

自分が死ぬということを受け入れるまでには、否認・怒り・取引・抑うつ・受容と5つの段階があるという

 

 

でもこれで何を伝えたいのかというよりかは、作品として自分のことを残しておきたかったのかなと思いました。

そして作っていくうちにまた監督自身も、死の5段階のうちの最終章、受容へと意識を持っていくことができたのだろうか、と。

 

個人的にこの映画で一番好きなところは、リハーサルのシーンです。

ここだけでも価値のある映画だと思うくらい芸術的。

彫刻が動いているかのようなダンス、不穏な音楽、unusualな演出、

これこそが彼の真髄なのだという印象を受けました。

 

このシーンについてはあまり言葉にするのはナンセンスなので(ブログなのに

ミュージカルや舞台好きな方にはとりあえず、ここのシーンだけでも観て欲しいなと思いました!

 

ミュージカルですが、どちらかというとショー要素の強いこの作品。

話し的には暗いですがそこまで暗い演出はないので、

ミュージカルやショー美術や衣装などが好きな方はよかったら観てみてください。

 

では、この辺で。